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このページでは高層天気図の作図方法を解説。気象予報士を目指している方、気象に興味のある方、理科の自由研究などでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。なお、高層天気図にチャレンジする前に、まず普通の天気図(中学校などで習う地上天気図)は書けるようになっておいてくださいね。

高層天気図を書こう

高層天気図とは?

高層天気図とは、その名のとおり高層すなわち上空高いところの気象状態を示した天気図である。これに対し天気予報や新聞などでよく目にする一般的な天気図は気圧を海面(海抜0m)補正値で示した図で、高層天気図と区別するため地上天気図と呼ばれています。

低気圧や高気圧、台風などは上空の風に流されて進むことから高層天気図は天気予報に欠かせない存在となっております。また上空の気温を知ることにより寒気の流入が分かり、大雪の予測や雷の予測なども可能となります。気象予報士の試験でも高層天気図を読む知識は必須となっておりますが、読むためには実際に書いてみることも大切ですので、是非、チャレンジしてみてください。

高層天気図は等圧面天気図

地上天気図は海抜0mでの気圧の変化を示しています。世界中の観測点で「海抜0m」という同じ標高での気圧を測定し天気図を作成しているので等高度面天気図という分類になるのですが、高層天気図はこれとは違い、地上から高層観測のための気球を上げた際、上空へ行くにつれ気圧が下がっていき、その気圧がある特定の値(たとえば850hPaとか)になったときの高度を記録して天気図にします。同じ気圧の面での高度の違いを図にすることから等圧面天気図という分類になります。

上のアニメーションでなんとなくイメージできるかと思いますが、気圧が低い観測点では、気球が特定の気圧(たとえば850hPa)に到達するのが早く、低い高度で到達できることがお分かりいただけるでしょう。つまり等圧面天気図において、高度が低いところが低気圧、高度が高いところが高気圧という関係になってきます。

高層天気図の種類

ひとたび観測機器である気球を飛ばすと、その気球は850hPa→700hPa→500hPa→300hPa・・・のように高度を上げながら順次観測をつづけていきます。その各ポイント毎に高層天気図は作成可能となっており、通常の天気予報では主に850hPa、700hPa、500hPa、300hPaの高層天気図が使用され、航空気象予報などではさらに上空の250hPaや200hPaといった高層天気図も利用されます。

おおよその高さは850hPaでは1500m前後、700hPaは3000m前後、500hPaは5500m前後、300hPaは9000m前後となります。天気予報などで「上空1500m付近に強い寒気が・・・」のような表現があった場合は850hPa面のことを示してます。

実際の高層観測データーを見てみましょう

当サイトでは高層天気図作成にあたり「COKBEE Weather 気象通報EX」で公開されているデーターを使用します。

気象通報EXはこちら

今回は試しに気象通報EXの中から「850hPa高層気象通報」を見てみることにしましょう。

「850hPa高層気象通報」のページを開くと、まずプロット図が現れます。既に地図上に各地のデーターが記入されていますので、この状態から天気図の作図をすることが可能ですが、今回は初めてですし、勉強ですからその下の「主要地点のデーター」を見ていきましょう。

上のデーターを読んでみますと、たとえば「八丈島 南西 33 1466 15.8」となっています。これはすなわち「八丈島では南西の風、風速33ノット、高度1466m、気温15.8℃」ということになります。ラジオの気象通報と似ていますが、違いが2点ほどありますね。

まずひとつは、風速の単位。ラジオ気象通報では「風力」という日本式の単位を用いていますが、こちらでは「ノット」を使用。1ノットはおよそ風速0.5m/sですので、風速何メートルかに換算したい場合は0.5を掛ける、すなわち半分にすればよいので上記八丈島の33ノットは風速16.5m/sくらいとなります。

そしてもう1つは、気圧の単位。ラジオ気象通報ではhPa(ヘクトパスカル)で示しますが、こちらは高層天気図ですので、上の方で述べたように等圧面天気図。今回は850hPaの等圧面天気図ですから、850hPaになる高度が1466mであるというふうに、高度(m)で表示されます。

データーを地図上にプロットしてみよう

気象通報EXでは下記で専用の天気図用紙を販売しておりますが、観測地点に北緯と東経が併記されているため、どんな地図(一般的な天気図用紙など)を使っても書くことができます。

天気図用紙EXはこちら

手元に天気図用紙が準備できたら、早速データーを記入していきます。基本的にはラジオ気象通報を聞いての記入と似ていますが、「天気」の項目がありませんので羽根の付け根はただの点になります。

そしてもうひとつ、風速の単位が「風力」ではなく「ノット」ですので、これに対応する羽根の形状が以下のように異なっております。この羽根の形状は国際式ですので世界中で通用します。羽根の種類は3種類あって、5ノットの羽根、10ノットの羽根、そして50ノットの羽根で、これらを組み合わせて表現します。

高度と気温の表記については、ラジオ気象通報での記述と同様に、地点の右側に高度、左側に気温を記入すればOKです。なお、気象通報EXの自動プロット機能では高度と気温が2段で表記されています。

できましたでしょうか?では、次からはいよいよ線を引いて天気図を完成させていきます

高層天気図作図

ではいよいよ線を引いて高層天気図を完成させていきます。

等圧線の描画ですが・・・等圧線というのは地上天気図での呼び方で、今回は高層天気図=等圧面天気図ですから気圧はどこも同じ(たとえば850hPa)になり、線を引く対象は「高度」です!そこで、線の呼び方は「等高度線」となる点に注意してください。

いきなり線を引くといっても、どの数値の線から引けばよいのか迷うと思いますので、参考までに気象庁が作成している高層天気図の基準線の値と線の間隔を表にしました。

高層天気図の種類等高度線の基準線等高度線間隔等温線基準線等温線間隔
850hPa1500m60m0℃3℃
700hPa3000m60m0℃6℃
500hPa5400m60m0℃6℃
300hPa9000m120mなしなし

今回は試しに850hPaの天気図を作図していますので、まずは基準線となる1500mがどのあたりを通るのか探してみましょう。

今回はプロット点の中から1500mを挟むプラスマイナス30m以内の地点を探し出し、プラス側は青で、マイナス側は赤で明示してみました。この間を1500mの等高度線が走っているわけです。なんとなく見えてきますよね。

等高度線は風向きも考慮せよ

上空の風は地面からの摩擦の影響を受けにくいため、風は気圧の傾きおよび、地球の自転による転向力(コリオリの力)の2つが釣り合った状態で流れています。これを地衡風といいまして、簡単に言うと、「風は気圧が高いところを右手、低いところを左手に見ながら等高度線と平行に流れる」という法則があります!

つまり等高度線は風向矢羽根の向きに合わせて引くことを心がけましょう

1500mの基準線が書けたら、あとは60m毎に等高度線を同じように引いていけばできあがりです。だいぶ天気図らしくなってきました。

等温線も引いてみよう

高層天気図では寒気や暖気の動向を把握するのも重要ですから、等高度線に続き、等温線も引いてみましょう。

等温線も等高度線と同様に基準となる値を決めていただき、まず1本引いてスタートです。なお、等高度線のときは地衡風の影響により風向きを考慮して引きましたが、等温線の場合は特に気にしなくて構いません。ふつうに同じ温度のところを線でつなぎましょう。ここでは等高度線との区別のためオレンジ色の線で書きました。

地上天気図と同様に等高度線が閉じられたり異様にふくらんでいるところには低気圧や高気圧があります。また等温線が閉じたり異様にふくらんだりしているところには寒気や暖気がありますので、それぞれの場所にL(低気圧)、H(高気圧)、C(寒気)、W(暖気)の記号を振っております。

これで850hPaの高層天気図は完成しました!

かつては「ラジオたんぱ」で「夏山高層気象」という気象通報が放送されていて、それを聞くと700hPaの高層天気図を自分で作成することが可能でした。しかしだいぶ前に放送は終了し、以降は気軽に高層天気図を作成する機会は失われてしまい、今では高層天気図を作図できる人も少なくなっているかもしれません。この機会に是非チャレンジしてみてください。気象通報EXでは気象庁で作成していない400hPaとかの高層天気図も作ることが可能となっています。